前回まで地域の安全についてレポートしてきましたが、そもそもこういったことを色々と検討し、立案したものの是非を問う場として「八千代市議会」が設けられています。
市民の代表選手として4年に1回選出された市議会議員の方々が、私達の意見を代弁するということで市に対して問題提起したりしているんだろうと思われます。でも、実際どんなことが話題になっているのか、どういう風に議論されているのかということについては、イマイチよく分かりません。
私達が「知らない・分からない」といった状況で、議員の方々が「民意を代弁」しているというのも、ちょっと不思議な感じもしますよね・・・?ふと新聞とともに折り込まれた「広報やちよ3.1号」を見てみると、3月は平成18年八千代市議会の第一回定例会が行われる月のようで、日程には3月2日と3日に「一般質問」がなされるとのこと。改めて日程を見ると、結構休会が多く、興味を持てそうな一般質問の日を逃すと、次は3ヵ月後の第二回定例会まで機会がなさそうです。
私はすっかり「今回行かないと、(次回6月の時は相当お腹も出てるだろうし、出歩くのもままならなかったりしたら)かなり先まで傍聴できない!なんか行っといたほうがいいかも。」と、思い立ってしまいまして、このやちなびをやってなければ絶対行くこともなかったであろう市議会の傍聴に行ってみることにしました。
でも、どんな人が傍聴してるんだろう?
58席もあるけど先着順とあるし、実は超人気で早く行かないと満席になったりするのかもしれない!と不安になりまして、翌日の朝、10時から開会のところ9時に市役所へ到着するように出かけました。
ガソリンスタンドやドトールがある側の通りから駐車場を抜け、いつも住民票を取りにいく新館1階からエレベータに乗り込みました。木目調の感じがちょっと緊張を誘います・・・。
4階に「議会事務局」があり、ここで傍聴券をもらえば傍聴が出来るそうです。が、到着した4階正面にはふれあいコーナーなる低いテーブルがあるだけで、さてここからどこへ行ったものか・・・?とりあえず、L字を天地逆さにしたような形のフロアのつきあたりまで進み、通りすがりの男性に聞くとすぐ左の部屋がその事務局だと案内してもらえました。
「すみませーん、傍聴をしたいのですが・・・」
物静かな事務系オフィス。ちょっと職員室を思わせるような感じでもあります。正面にある受付用の長机へ女性がいらして、水色の「八千代市議会傍聴券」とボールペンを差し出されました。
左側に住所と氏名、さらに右側にも氏名を書く欄があります(ちなみに左写真は加工です。ちゃんと本名を書いて提出しました・・・)。お返しすると半券にして右側のみをいただきました。裏には「傍聴人の心得」なるものが5項目ほど記載されています。
この半券とともに、第一回定例会の日程一覧(A4・1枚)と、定例会の議案が第一号から裏をめくって46号までズラリと書き並べられた一枚(
詳細はこちら)、そして昨日今日と行われる一般質問の順序と質問要旨が簡単に書かれた書類(
詳細はこちら)の、3種類も併せていただきました。
「傍聴は初めてですか?では、携帯電話は電源を切って傍聴してください。傍聴席はここからさらに突き当たり左手に階段がありますから、そこを上がってください。ちなみに、今日の質問は個別質問の遠藤議員からですよ。」とご説明いただき、10時からということを再確認した上でまずはその場を後にしました。
水色の半券を見ると、ナンバーに1と附番してあります・・・。なんだ、私が一番目の受付じゃん。焦って来なくても大丈夫だったかも。いや、この後もしかしたら混むかも知れないし、念には念を!
でもまだ10時まで時間があるので、表のドトールに行ってようかと思い1階へ降りたところで目にとまったのが「レストラン四季」。こんなときじゃないと行かないだろうなと、地下1階へ降りることに。
自動ドアの外から、券売機と学食のようないくつものテーブルが覗けます。あの券売機で買うのかな・・・?とりあえず入ってみると、すぐ左にお菓子などが陳列された売店のようなものと、その奥に調理場がありました。売店のレジに立つ女性と目が合い、思わず「コ、コーヒーだけ頂きたいのですが・・・。」と、どうしたらいいの?券売機に行けばいいの?風に告げたつもりが「ホットとアイスどちらにしますか?」と既に注文が開始されてしまったので、「いや、じゃあカフェオレ(250円)のアイスで」と訂正し、お金を払いました。
席まで持ってきていただけるそうなので、5〜8人掛けの20テーブルほどある中から自販機に囲まれた右奥を選び、座って待ちました。なんだ、この自販機で買っても良かったのかも・・・。
なんだか懐かしさを覚える食堂です。市役所にお勤めの方が利用するのかしら?慌ただしく調理場では準備がなされる一方で、お客は私ただ一人・・・。
あと40分ほどあるので、頂いた資料に目を通すことにしました。
といっても、質問も見出しだけで、具体的にどういうことが問題で質問をするのかというのは書いてありません。抽象的で分からないながらも、昨日既に質問を終えた項目の中に「まちの安全と市民の安心の確保」という街づくりに関するものを見つけました!ありゃりゃん。昨日来ないと聞けないじゃない。
今日は10時から午前中の部のみ傍聴しようと思って来ましたので、質問内容は耐震問題、市営住宅、市民活動等について話されるのを聞くことになるようです。
5分ほど経ってお持ちいただいたカフェオレは、コーヒー味の強い深みのある苦めのもの。飲みながら、ふと前の方のテーブルを見ると、沢山の大きな茶黒の箱に料理を詰めて忙しくお弁当作りをする女性が目にとまりました。もしや今日の議員の方々のお昼では?!違うのかしら?
飲み終えたグラスを戻しにいくとき横目で覗くと、カツや煮物が詰められていました。議会がある日は色々と準備が大変のようですね。(って、本当にそのために作っているのか分かりませんが・・・。)
さてさて、本題の議会傍聴です。
10分前に再び4階へ上がりまして、先ほど説明いただいたとおり階段を目指しました。気持ちを新たに4階を見回すと、木目調の壁と並んだ個室の雰囲気が、企業の役員フロアにも似た感じです。広報やちよの紙面でも見かけた「市民クラブ」や「緑風会」などの党名が刻まれた札のついた部屋がいくつもありました。イメージではバラバラに事務所があるのかと思っていたので、まさか市役所内にこういう場所があるとは思ってもおらず、ちょっと新鮮。
こういうところで色々と議論したり、集会をしたりするのかしら?
また、今朝一番のときよりスーツ姿の男性を多く見かけ、この方々は議員の方?なんかポスターで見たことが・・・という周囲の状況に、さらなるドキドキ感が!気のせいか、場違いな感じもしますし、そう思われてる気もしますが、私も一市民。堂々と傍聴席へ入場させていただきます!
でも、入口でとめられまして。
え、やっぱり私はダメですか?!・・・あ、傍聴券ですね。
見せて、問題なく階段を上がることができました。
入口手前には、「写真撮影・録音禁止」の貼紙と、会に出席される方々の席順などが貼られています。残念ながら皆様に写真で様子をお見せすることができませんので、ここからはイラストと解説で・・・。
傍聴席から見た本会議が開かれる場所のイラストです。前に写真で見たことはありましたが、思ったよりもちょっと狭い感じがします。
5分前に傍聴席に入りましたが、一人高齢の男性が右側一番前に座っている以外は誰もいない・・・。折角なので中央の一番前列に腰をかけました。
既に議長、副議長、そして市の各関係者が着席されています。議員の方々はまだ一人も座っていなかったのですが、1分後くらいにぞろぞろと入場し始め、10時直前にはほぼ全員着席されました。傍聴席の右側にいた男性が、下階の議員の方と会話を交わしています。どうやら元議員さんっぽい?
10時になりました。
と同時に、ジリリリリーンと目覚まし時計が!!どこから?!(副議長の席上に、本当の目覚まし時計を発見。あれっぽい。)
「出席者は30名で半数に達しておりますので開会いたします。それでは質問者の遠藤議員お願いします。」みたいな内容のことをスラスラと議長が述べたかと思うと、すぐに本日最初の質問者が前へ進みました。その際パン、パン、パンと議員席からまばらに拍手があり、質問者の議員は議長に一礼した後、発言する場所に立ちました。
「おはようございます。」という挨拶のあと、淡々と手元の文書を読み始めます。
こんな急にスタートするものなのか!と突然の始まりっぷりに驚きました。寝起きに期末テストが始まった感じ。
質問に立つ方以外は、とにかく黙ってその内容を聞き続けます。途中で何か口を挟むことはありません。逆に、質問者は手元の見出し通りに質問を行い、別の話をすることも、質問の順番を変えることもありません。
他の議員の方々は、手元の資料に何かを書き込む方、隣の議員と何かをお話されている方、ひたすらうつむいて聞き入っている方・・・とさまざま。
話は戻って、遠藤議員の質問内容です。はじめは何だか本当に淡々と質問1点目の耐震問題について話が始まり、どうにも頭に入ってこないというか、論点がよく理解できないでいたのですが、要は市内にある81年以前の木造住宅やマンションの耐震チェックとその改修費用について助成を求めたいが市はどう考えているか?という話のよう。
「どうお考えですか?」の後は、特にそれに対して市の方が答えることはなく、耐震問題の次の質問について話がはじまります。次々とこうやって質問を列挙していくのかしら?そして本日が終わってしまうのであれば、私ったらまた別の日に来ないと市側の見解が分からないまま消化不良になってしまうわ。
耐震問題についてひと通り質問が終わると、次は市営住宅についての問題提起がなされました。市営住宅について考えたこともなかったのですが、この質問内容は興味深かったです。
八千代市にも生活保護者が年々増加傾向にあって、是非とも入居したい!という声があるのに、対応しきれていないのではという問題があるんですって。
要因のひとつは、現在八千代市内には市営住宅のみが117戸(県営は無し)ありますが、その数は周囲の市に比べて少ないということだそう。例えば(人口が異なるので単に戸数だけでは比較出来ないので)1世帯当りの割合で換算すると、八千代市は0.0016%なのに対し、船橋市は県営も含めて0.0054%、習志野市は0.023%、佐倉市は0.0089%あるそうです。
で、八千代市の市営住宅が全て埋まっているのかといえばそうではないそうで、その原因は風呂釜が全戸に完備されていないことにあるよう。周辺に銭湯もなく、仕方なく個人設置をすると15〜20万円程度かかることから、空きがあっても応募者がいないという状況にあるそうです。これを市が責任を持って設置したらどうかという問題。
また、入居時は必ず連帯保証人を必要としているけれども、なかなか生活困難者の連帯保証人になってくれる人がいないということが、入居の壁を作っているので、何かあったときに連絡のつく連絡先(保証人)に変更することは出来ないかという質問などでした。
よく聞いていると、だんだん何が問題なのかという部分が見えてきて、遠藤議員も数字を出して説明をされるので実感も沸き、へぇー、こんなことが八千代で問題になっているのかー、と思うようになってきました。
次にもう1項目質問を言い終えたところで、遠藤議員は席へ戻っていきました。丁度30分、水も飲まずにしゃべり続けるのは大変なことですね。
今度は、手元の質問項目一覧にある次の議員さんが席を立つのかと思っていると、議長が「では企画財政部長。」と市側に座っている方を呼び、呼ばれた方が発言台へと上りました。
どうやら何人もの質問が続くのではなく、一人の質問に対して答えていくという形式のようです。私も消化不良にならず帰宅できそう。
この回答する方の順番は質問の内容順ではありませんで、企画財政部長は最後の質問項目に対して「国の問題なので見解は述べられない」「今後催しを通じて紹介するなど検討していく」など、かなり抽象的な回答を手元の書類を見ながら答えていきました。
なるほど、もう事前に質問内容は伝わっていて、この定例会ではそれらを読み上げるものなのね。定例会の前に色々と準備や調整が行われているから、淡々と読み上げても途中で聞き返したり中断したりすることがないわけですな。
でも、そうなるとそれぞれの議員さんが定例会以外の時間を、どのように過ごしてどのような考えをもって活動を行っているのか、私達はここを知る必要がありそうです。どうやって市民の問題として取り上げているんでしょうか?謎です。(議員の活動レポートとか、やってみます?)
その後、都市部長が耐震問題について回答したのち、市営住宅の問題についても市の見解が述べられました。
市営住宅の増設については、平成14年3月1日付で市と都市再生機構が公団を借り上げる協定書を策定したけれども、平成17年8月1日に施行された地域における公的賃貸住宅のなんちゃらがあるので、それも踏まえて協定書に基づいた計画を今後検討していきたい、うにゃむにゃ・・・といった、だから結果どうなるの?と聞き返したくなるようなちょっと煮えない回答。どうなるんでしょう?
それに引き換え、風呂釜設置については気持ちの良いくらいの回答で、現在75戸に風呂釜が設置されていないので、今後入居者入れ替えの際のクリーニングにあわせて、市が全面的に負担する形でリフォームを順次行うということでした。
やっぱり、質問が抽象的だと、回答も抽象的になるんでしょうか?これはこの議会に限らず、例えば会社で過ごしていたりしても「人に聞く」というときには同じようなことが言えると思いますが。折角色々と調べているのに、勿体無いなぁとも思ったり・・・。
抽象的な回答ばかりが並べられても、本当に良い方向に進められているのか、具体的にどんなことが行われていくのか、いまひとつ実感が沸きませんものね。
質問の仕方、難しいことです。
ちなみに、もうひとつ連帯保証人の話は、家賃滞納指導や明確な緊急時の連絡先という事情から、入居決定者には連帯保証人を必要とすることをお願いしたいという結論でした。
さて、これで次の議員さんによる質問かしら?・・・と思っていると、再び遠藤議員が席を立ちました。先ほどの市の回答を踏まえ2回目の質疑が始まり、特に耐震問題について「耐震診断のみの助成は意味が無い、改修も含んだ助成が必須」という点について強く要望する内容でした。
他市の助成状況についても補足説明があり、墨田区では簡易的な補強についても費用の2分の1、25万円まで補助を行っていたり、千葉市や市川市でも木造・マンション、戸建てに対して助成を行っている現状、また船橋市では耐震補強に関して無利子貸付けを行っているということを並べ、八千代市でももう一度検討するようお願いしたいと結びました。
そして、市営住宅についてももう1点追加され、窓口に入居申し込みにいっても年齢制限を理由に受け付けてもらえない方がいるという話を通じ、広報や募集要項に年齢についての記述が不十分なので周知徹底するべきという意見が述べられました。
そろそろ1時間、ちょっと議員席からもざわついた声が出てきました。時間的なルールがどのようになっているのか私はよく分からないのですが、どうやらもうすぐ質問時間が終わるようです。さらに市から回答がなされ、丁度11時にようやく一人目の質問が終了しました。
こんな感じで、次の議員さんも質問、市の回答、2回目の質問、市の回答、で11時45分に2人目が終了。12時ギリギリまで続けるのかと思いましたが、切りの良いところで「では、午後は13時から開会いたします。」という議長の声掛けで午前の部は閉会し、議員の方々は右側の出入り口から、市関係の方々は正面の壁の裏側から退出していきました。
気づけば、傍聴席にはもう2人ほど男性が増えていました。
私は体調のこともあり、午後の傍聴はせずに帰宅するつもりでしたので、そのまま4階の議会事務局に水色の傍聴券を返却しに行き、1階へ降りました。
帰り道のハミングロードを歩きながら、今日の市議会を聞いてみて、何だか色々と思うところがあるなぁ・・・とぶつぶつ。
そもそも、この議会での質問を通じて議員の方々が何を得ようとしているのか、どうにも理解不足というか、不透明なんです。質問事項を見ていても、どんな意図を持って質問をしているのか分からないわけです。恐らく経緯をご存知の方とか、直接関係している方であったりすれば、その一部分だけ見ても理解できるのかもしれませんが、今回の定例会のみを傍聴したり、J:COM中継をたまたま見ただけだとしたら・・・?私はとても理解出来ません。
例えば、今日の質問に上がった「この新設される団体の所管元はどこになるのか、ご回答ください」なんていう内容。「それはどんな問題を懸念した質問なんですか?」傍聴の立場では、聞きたくても聞けないんですよね。恐らく、特定の所管元にならないと不都合が生じて、末は市民の損につながると思うから質問しているんだろうと思うのですが、「今検討が進んでいる所管元にするとこんな問題が懸念されるが、この所管元に変更すれば市民にとってこんな利が得られると思うが、この所管へ変更出来ませんか?」などと具体的な回答を求める質問でない限りは、聞いている市民もその経緯が分からないし、答える市側にも本当の意図が伝わっているのか不安になります。
今回傍聴してみて、分かりづらいなと思いながらも、議員の方々が色々と調査し、市の方々も真摯に対策を考案しているということは感じ取れました。なのに、市民側がその状況を理解できなかったり、具体的な取り組みを知らないために、「何もやってないんじゃないか」などの不信感を持ってしまうのは本当に勿体無い!
もしかしたら、今の八千代は本当に恵まれている街なのかもしれないし、逆に他市より遅れていて頑張らないといけない部分があるのかもしれません。
でも、その現状を理解しなければ判断も出来ないわけで、市民にとって現状を理解するツールというのは、大変重要なポイントなんだろうと思うわけです。
なのに、傍聴しても市民に真意を伝えられない内容でしか情報が得られないのだとしたら、どうやって市民は今自分が住む街の現状を理解すればいいんでしょうか?もっと手軽に、分かりやすく情報を手に入れられればいいのに・・・。
と考えていると、やっぱりやちなびでレポートにするのが一番手っ取り早いんじゃと思えてきまして、特に全部分からなくても知っておいた方が良さそうな情報にポイントを絞って、内容を砕きながら情報を掲載すれば、私も一市民として得になるし、レポートを通じて皆さんが思うところをコメントに書いてもらったりすれば、実際に集まることは出来ないはずの市民間の意見交換が出来て良さそうな感じもしますし・・・。
議会は3,6,9,12月に開かれるそうです。時々傍聴してきて、レポートにしてみようかしら。今回みたいに市営住宅について少しでも注目するきっかけが出来るだけでも、随分前進していると思いますし、私たちの暮らす八千代で、今どんな問題があるのか気にする糸口になれれば、こんなにやりがいのあることはないわけですし。
頑張ってみようかな。