2011年10月11日

天ぷら廃油は捨てないで!八千代市とNPOコニュニティひまわりの取り組み

【追記】2012年8月1日 いよいよ拠点回収が始まりました!詳細情報を末尾に追記しています。

最近、八千代市のあちこちで「使用済み食用油を回収します」という文言を見かけませんか?
広報やちよ紙面でも“清掃センターで使用済み食用油などを回収する”というお知らせが掲載されていますし、今月15日・16日に行われる毎年恒例のどーんと祭りでも、イベントのひとつとして油の回収が告知されています。
実は今、『家庭から出る天ぷら廃油で“エネルギーの地産地消”プロジェクト』に挑んでいるらしいのです。

なんじゃそりゃ!
天ぷら油を回収することが、地産地消につながる??

「天ぷら廃油をリサイクル」というのは割とよく耳にしますが、これを原料にして石鹸やロウソクを作るのかと思いきや、“エネルギー”と銘打つに相応しい動力資源として再利用するらしいのです。使い終わったら固める○ンプルとかで燃えるゴミにしてきた油が、どういう形でリサイクルにつながっていくのかしら?そもそも何がきっかけで、八千代で取り組みが始まっているんでしょうか?
ということで、今回の暮らしレポートは“八千代市の廃食用油燃料化事業”について。
このプロジェクトを八千代市とともに支える「NPOコミュニティひまわり」の事務局長であり、同時に事業の策定員会委員長でもある有馬富穂氏に、さまざまな角度からお話を伺ってきました!

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↑ H23.2月「廃食用油燃料化事業可能性調査」の資料なども参考に、今回のレポートを書きました。

八千代市では、“地域に存在する新エネルギー”を有効活用することによって、地球温暖化や化石燃料使用削減などの問題に対処していこう!という考えのもと、平成21年度に「八千代市地域新エネルギー・省エネルギービジョン」が策定されています。
果たしてこの土地では、どんなエネルギーが利用出来そうなのか?
あらゆる面から八千代市について分析されていきました。
例えば、風力発電には平均風速5.0m/sec以上が必要とされていますが、八千代市の平均風速は2.5m/sec程度ですから難しそうだ、といった具合に、降雨量や平均日照時間など気候的な特徴をはじめ、土地の活用状況や人口、商業状況まで、さまざまな角度から事業として経済的利用が可能かどうか調査された結果、「どうやら八千代には、廃食用油が潜在的に眠っているらしいぞ?」という実態が見えてきたのです。

八千代市の「隠れ油田」。
それは、市内に集中する食品製造会社をはじめ、大手スーパーや飲食店チェーンが排出している使用済みの食用油のことでした。

廃食用油の行き先を調査した結果、質の良いものは家畜飼料のエサに混ぜるものとして有償で埼玉や栃木など他県へ流出しており、低質なものは廃棄物処理業者を通じてゴミとして処理されているようです。また小規模な飲食店などでは、ほとんどが可燃ゴミに。ベッドタウンとして発展している八千代市ではファミリー層も多く、頻繁に食用油が消費されているようですが、やはり新聞紙に吸収したり凝固剤で固めて燃えるごみとして処理されていました。
唯一「八千代市福祉作業所つばさ」が石鹸作りのために、市内2ヶ所の保育園から回収・リサイクルしていることが分かったものの、市内全体で見ると、大口排出事業所以外では有効に利用されていないという実態が明らかになったのです。

『この廃食用油に着目したのは、近年バイオマスエネルギー(=生物由来の有機物資源(バイオマス)から得られる循環型エネルギー)として位置付けられた「バイオ燃料油」としての利用が出来ないか?という期待があったからです。バイオマスエネルギーは、燃やしても大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない(=カーボンニュートラル)特性を持っているため、地球温暖化対策に有効と言われています。』

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廃食用油の用途として、従来は主に(1)石鹸(2)家畜飼料に加工されていましたが、廃食用油の石鹸は需要が伸び悩み、家畜飼料も安価な輸入品に圧され気味でどちらも供給量が不安定。しかし(3)バイオディーゼル燃料(=BDF)への加工技術が出来てからは、化石燃料に代わるバイオマスエネルギーとして大変注目され、全国でも多くの市民団体や自治体によって回収が進められてきたのですが・・・実はすっかり行き詰まりを見せていて、回収した油が余って結局燃えるごみとして処分せざるを得ない状況を招いているというのです。

『バイオディーゼル燃料(=BDF)は、トラックやバス、農業用車両に用いる軽油代替エネルギーとして廃食用油の新たな用途だったのですが、このBDFに燃料化する過程でさまざまな問題点が事業化を阻んでいるのです。』
【BDFの問題点】
・機器や設備などの導入コストが高い
・製造過程で、アルカリ液を使用するため排水処理費がかかるほか、品質の悪い廃食用油になるほどグリセリンの排出量が増加し、その処理コストも必要になる。
・BDFは軽油同等に課税される
・品質の法規制が大変厳しい
・使用する自動車のエンジントラブルが問題になっている


『こうした経済的な問題や使用時の安全性などからBDFへの加工も頓挫し、最近では「廃食用油はリサイクルシステムの構築が困難である」と考えられてしまっているのが現状です。しかし国内では食用油が年間約237万トンも使用され、そのうち一般家庭でも約39万トンが消費されています。業務用の一部は飼料や工業用脂肪酸などに再資源化されるものの、年間約10万トンもの家庭から発生する廃食用油は、ただ一般ごみとして焼却処理されていくばかりです。』

限りある資源を、何とか有効活用できないものか?

そこで生み出されたのが、新たなバイオマスエネルギーとして急速に注目を集め始めている、重油の代替燃料「バイオ再生重油」だったのです。これは廃食用油を遠心分離・ろ過で精製したものを、再生重油(=自動車整備業などから出る自動車エンジンオイル廃油を回収・精製したもの)に混合したものだそうで、平成20年に札幌市の一企業で製造・燃焼実験が行われたばかりの最新燃料!
この技術であれば回収した廃食用油をそのまま利用できるため、加工過程でBDFのような廃液を全く出さずに済みますし、河川の水質汚濁防止対策面でも優れているとのこと。
何より設備投資もランニングコストも大変安く済みますし、従来から使用されている再生重油と全く変わらぬものとして利用できるので、需要の心配があるどころか来年度にはJIS化も検討されている期待の新エネルギーなんですって!

八千代市には、この技術を難なくこなせる企業がありました。
上高野にある業界大手の再生重油メーカー(株)東亜オイル興業所です。

東亜オイルさんは、産業廃棄物の収集運搬や中間処理、再生重油の製造などを行う企業で、平成20年には“循環型社会形成推進功労者優良企業”として環境大臣賞も受賞しているほど高い技術を誇っています。
重油としての物性を維持するには、混合率は廃食用油を20%程度にするのが妥当だそうですが、バイオ再生重油に不可欠な再生重油を年間10,000キロリットル規模で生産しているので、単純計算しても年間2,000キロリットルまで廃食用油の引き受けが出来る能力があります。
この事業に必要な設備は、東亜オイルさんが持つ既存の製造設備がそのまま使用できるそうで、新たな設備投資を一切必要としないことも大きなメリットとなりました。
こうした多くの利点を考慮し、八千代市の環境問題への取り組みは、バイオ再生重油を製造する「廃食用油燃料化事業」が採用されたということなんです。

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↑ 広報やちよや新聞で、この廃油回収&リサイクル事業が取り上げられました。

このバイオ再生重油を使用した場合の二酸化炭素削減効果について分かりやすく計算してみました!
2010年燃費標準基準の中型車(車種1.2t)が1万キロ走ったときに排出されるCO2は、約1437.5kg-CO2だそうですが、これを基準に換算してみます。
八千代市内の公共施設で使われている年間石油消費量は、重油として年間284.8キロリットル(H23時点)なので、バイオ再生重油に置き換えると、二酸化炭素の年間削減量は約154.2t-CO2削減されることになり、これは自動車約110台分に値するんです。
全国規模で見ればほんのわずかな置き換えで、これだけの効果が出せる廃食用油!捨ててしまえばただのゴミなのに。
ちなみに、学校給食センター使用燃料が2〜3年以内に天然ガス仕様に変更される予定で重油使用量が大幅削減されるため、変更後の使用量で換算すると42.7t-CO2削減(約30台分)となります。
(もちろん製造されたバイオ再生重油は、市の公共施設にだけ使われるわけではなく各地へと運ばれていきます。)

『現在、バイオ再生重油は国内で採算ベースに合うところまできています。回収量がまとまれば経済性にも優れた事業ですし、単に八千代市のCO2削減の一助となるばかりではなく、全国的にBDFの利用が行き詰っている中で廃食用油の新たな用途が開けることになります。この地域新エネルギー導入事業を市民・事業所・八千代市が協働推進し、「廃食用油のバイオ燃料化モデル地区」として全国の先駆けとなることで、市の環境事業を対外的にPRするチャンスでもあるのです。』
【目的】
・バイオ燃料によるCO2削減対策
・河川水質汚濁防止対策
・可燃ごみ削減、油固形剤使用削減
・障害者支援
・市民の環境保全やリサイクル意識の向上


これだけ夢のある燃料ですが、一番の問題は「いかに廃食用油を回収できるか?」という一点。
廃食用油の回収実績がある先進地域を参考にしながら、一般家庭や保育所、学校給食などからの回収可能量を予測するほか、市内食品製造会社へヒアリング調査を進めるなどして、平成25年度までに3段階のステップを踏みながら、年間150〜200キロリットルを目標に回収できるよう計画しているとのこと。

『平成22年に、この廃食用油を回収することについて市内自治会や幼稚園などを通じてアンケートを行いました。その結果、特に家庭から回収する場合は、どのような容器にどうやって入れるのか?出すときに周囲が汚れないか?可燃物なだけに取扱いが心配・・・といった不安の声も少なくなかったため、まずは第1段階として先行モデルを確立し、出す側・回収する側の双方で無理なく実行できるよう進めています。』

既にこの第1段階のスケジュールは平成23年4月からスタートしていて、先行モデルとなる幼稚園、保育園などの小口排出元からの回収を始めています。さらに7月からは清掃センターへ市民が持ち込める体制が整い、公民館やスーパーにも呼びかけのチラシが貼られるようになってきました。
この回収作業の中心となるのが、市内にある福祉事業所「つばさ」です。十数年前から事業として、既に市内2ヶ所の保育園から廃食用油を回収し、石鹸づくりを行ってきているのですが、今後はさらに回収量を増やしていくとともに、その回収したものをドラム缶への移し替えやろ過作業を、福祉事業と一環として市が委託することになっています。

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↑ 先行モデルとして高津幼稚園でH23.4月から回収が行われています。高津幼稚園は、エコアクション21に全国で初めて認証された幼稚園。太陽光パネル・屋上緑化等取り入れ、環境教育にも力を入れています。

第2段階では、八千代市による全面的な拠点回収へ移行していきます。
まずは公民館や市役所などといった公共施設で回収ポイントを設け、平成24年度頃を目途に現在の資源ゴミ回収場所の利用へとつなげる計画です。商工会議所を通じて、商店街やスーパーなどからも回収できるよう進めていくことも検討されており、最終ステップである第3段階には、いよいよ大口排出元である食品製造会社や大手企業から、より多くの廃食用油を回収できる体制を整え、事業を安定させていくとのことでした。

ところで、実際に油を回収するときには、どのように出せばいいんですか?

『特に専用の回収ボトルなどは用意しません。ご自宅にあるペットボトルをよく洗って乾かしたものであれば、それに詰めてキャップをしていただければ結構です。未開封の油は、そのままの状態でお持ちください。 なおペットボトルなどは回収した先で、焼却ごみとして処理します。天かす等の不純物は出来るだけ入り込まないよう、油こし器で揚げカスなどを軽く濾してください。』
【持ち込める油】
なたね油、コーン油、ひまわり油、べに花油、ゴマ油、オリーブ油などの家庭から出る使用済み植物性食用油。未使用で古くなった油も可。混合も可。
【持ち込めない油】
エンジンオイルや灯油など石油系の機械油類、ラードなどの動物性食用油。飲食店や食品加工業など一般家庭以外の事業所から出る油脂類。

※八千代市清掃センターへの持ち込みは、月曜日〜金曜日(祝日を除く)午前8時30分〜午前11時40分、午後1時〜午後4時。毎月第3土曜日(祝日を除く)も、前述時間で持ち込み可。
持ち込み時は、(1)免許証など(八千代市民であることを確認できるもの)(2)廃棄物処分申請書を持参する必要があります。⇒詳細はこちら

なるほど!ペットボトルが使えるのは良いですね。
サラダ油のボトルだと、一気に使い切らないことも多いのでどうするのかと思っていたのですが。とにかく自分でやってみないと分からないので、今度のどーんと祭りに持っていけるように、試しにボトルに詰めてみました!
⇒2011年10月15日(土)・16日(日)開催の八千代どーんと祭りの会場で回収を受け付けています!

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↑ サラダ油の空ボトルか、ペットボトル(1リットルでも何でも良いみたいです)を用意します。ここに使い終わって冷ました油を流し込むのですが、鍋から小さな口にこぼさず注ぎ込むのは至難の業。かといっていちいちジョウゴを洗うのも面倒なので、新聞を折った端を漏斗代わりにしてみました。

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↑ あら!いいじゃない!思ったより新聞の強度もあるし、漏れることなく入れ込めました。

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↑ しかし、最後の方で不純物がありすぎて避け切れない事態が発生。そこで、小さくちぎったキッチンペーパーを漏斗の中に敷き込む作戦に。これなら最後まで無駄なく注ぎ込めます!

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↑ 今回たまった油はこれだけですが、次回またお料理に使ったときに足していけばOK。

先日、NHKBSプレミアムで9月18日に放送された「宇宙の渚」を観たのですが、その中でCO2が引き起こす様々な現象を目の当たりにしました。CO2は大気が薄くなると温暖化ではなく気温低下を招くそうで、普通は雲が発生しない成層圏に“真珠母雲”という七色に輝く雲が出来ます。これが太陽光に当たると低温時に溜め込んだ塩素成分が原子状塩素に変わり、オゾン破壊を引き起こすと考えられているんですって。
この美しい雲は、近年ごく一部の限られた地域でしか観測されなかったのですが、どんどん観測範囲が広がっていて、この雲が出ると紫外線が大幅に増大するため、フィンランドでは真夏でも子供に長袖、サングラス、帽子を付けて外遊びが制限されてしまうほどなんだとか。
これは外国に限った話ではありません。
日本でも今年4月30日に、通常の1.5倍の紫外線が観測されたというのです。

すっかり「CO2削減」という言葉が慣れ過ぎている昨今、もう一度自分に出来ることから始めていかないと、近い将来自分たちの子供にもサングラスをさせて外へ出す時代がやってきてしまうかもしれません。

【追加】2012年8月1日
昨年7月から清掃センターで回収していた使用済み食用油を、平成24年(2012年)8月1日(水)から市内9公民館及び市役所本庁舎でも回収することになりました!
容器に満タンにならなくても大丈夫です。
逆に、古くなっても満タンになるまでためてから持参してもOK!
ぜひ天ぷら、から揚げを作った日は、捨てずにためてリサイクルを!!

★拠点回収 詳細情報
【回収場所】市内9公民館および市役所本庁舎
<入口付近に廃食用油回収の専用容器を設置>
・大和田公民館(地図
・阿蘇公民館(地図
・高津公民館(地図
・勝田台公民館(地図
・八千代台公民館(地図
・村上公民館(地図
・睦公民館(地図
<建物1階エントランスロビーに廃食用油回収の専用容器を設置>
・八千代台東南公民館(地図
・緑が丘公民館(地図
<新館2階クリーン推進課までお持ちください>
・市役所本庁舎(地図

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【持ち込める油】家庭から出る使用済みの植物性食用油(なたね油、コーン油、ひまわり油、べに花油、ごま油、オリーブ油など)
※ 賞味・消費期限切れなど古くなった油でも受け入れ可能です。
【持込みできない油】
・エンジンオイルや灯油など石油系の機械油類
・食用でもラードなど動物系の油
・飲食店や食品加工業など一般家庭以外の事業所から出る油脂類
【持込み方法】油こし器で揚げカスなどを軽くこした後、ペットボトル(よくすすぎ水気を切ったもの)に入れて、キャップをよく締めた状態で回収用の容器(缶、あるいはコンテナ)に入れてください。 未開封の油は、そのままの状態でお持ちください。
【問い合わせ】環境政策室・クリーン推進課 電話 047-483-1151(代表)

●NPOコミュニティひまわり 
千葉県八千代市八千代台東1-17-5
事務局/047-405-0565(担当:有馬富穂)
【関連ブログ】http://fujikazu.blog.so-net.ne.jp/
↑このブログで廃食用油回収についての最新活動状況が報告されています。
〔廃油回収についての問い合わせ〕
千葉県八千代市クリーン推進課/047-483-1151(代)
八千代市清掃センター/047-483-4521
〔参考資料〕
・千葉県八千代市地域新エネルギー・省エネルギービジョン報告書「廃食用油燃料化事業可能性調査」(H23.2月発行)
・環境開発工業(株)ホームページ(バイオ福祉再生重油について)⇒こちら




posted by やちなび子 at 00:00 | Comment(2) | 市民活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素晴らしいレポート有難うございます。ポリ容器へ油を注入するのに皆さん苦労なさっているようです。なびさんの新聞紙のロートはグッドアイデアと思います。それにしてもポリ容器の口は細いですね。キャップで液が漏れ難くしていると思います。
Posted by tom at 2011年10月21日 15:19
tomさん
コメント有難うございます。新聞は丈夫で扱いやすかったので、漏斗に最適だと思いましたが、ほかに良いアイディアがあればぜひお伺いしたいです!
少しでも多くの油が集まるようになるといいですね^^
Posted by やちなび子 at 2011年10月21日 20:19
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