前回、子供たちの安全について八千代市の各学校ではどのような取り組みがなされているのか?というお題でレポートしましたが(前回のレポートはこちら)、結局学校からは思うような回答が得られませんでした・・・。学校に確認できないのないなら、それを管轄している市に聞いてみるしかない!
市に問い合わせたところ、こうした問題の管轄元である「八千代市教育委員会」の保健体育課で直接お話を聞く機会をいただけることになりましたので、今回はその内容のレポートです。
3月のとある日をご指定いただき、教育委員会へ足を運びました。
八千代市役所の中にあるのかと思っていたのですが、大和田駅から徒歩9分くらいの場所にある2階建ての白い建物なんだそうです。日頃車などで前を通っても全然気にとめていなかったので、こんなところにあったのか!と初めてその存在を認識。ほんとだ、自動ドアにちゃんと“教育委員会”って書いてある・・・。
約束のお時間まであと少しありましたが、きっと中で待っていられるスペースがあるに違いないと思い、とりあえず入館。ですが、思いのほか入ってすぐ正面に事務スペースが・・・!怪しげにうろうろしていたものだから、すぐ保健体育課の方に発見されてしまいました。
「八千代ナビのやちなび子と申します。15時にお約束をさせていただいたのですが・・・。」と身元を明らかにし、実際にご対応いただく方の身が空くまで、そばのソファーでしばらく待たせていただくことになりました。
「教育委員会」という言葉はよく耳にしますが、なんとなくメガネをかけたおばさまが「何とかザマス!」とか言っているような想像しか出来ず(どんなレベルだよ!)、一体どんな団体なのか、どんな存在なのか、ちっともイメージ出来ていなかったのですが、とっても普通にお勤めされている方々でした。デスクの雰囲気は企業の管理系フロアといった感じです。
3月は市議会の開催月でもあるので色々とお忙しいらしく、バタバタされていましたが、そんな中でもきちんと15時にはいらっしゃってくださいまして、建物奥の会議室へご案内いただきました。
「初めまして。本日は主に子供たちの登下校時の防犯対策についてのご質問にいらしたということで、通学路担当の保健体育課にて対応させていただきます。また、念のため指導課の者も一緒に同席した方が良いかと思いまして、私含めて2名でお話させていただくことになります。よろしくお願いします。」と、ご丁寧に挨拶いただいたのは、保健体育課長さん。
市に質問を投げかけたときには、まさか課長クラスの方から、会議室でお話をお伺いする機会を設けていただけると思ってもおりませんでしたので、なんとも光栄なこと。
いえいえ、こちらこそよろしくお願いします!
少し広めのスペースに、白い作業テーブルが向かい合わせで並べられています。そこに向かい合わせで座り、今回の趣旨をお伝えしつつ質問をしていきました。
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先日八千代市内にある各小学校に対して、特に登下校時などどういった防犯対策をされているのかアンケートしてみたのですが、具体的に取り組みの内容をお伺いできたのは1校のみでした(その内容はこちら)。こうした取り組みというのが、この学校のみなのか、それとも八千代市全体で取り組まれていることなのか、そのあたりの現状について教えてください。
「八千代市が指導するというより、今は国から“危機管理マニュアルを各学校で定めるように”という指導があるんですね。これを市を介して各学校に周知していますので、このマニュアルに基づいて対策しているという状況です。ただ、学校によっては環境や設備も違いますから、具体的なやり方については各校に一任ということになっています。」
例えばどういった対策がなされているんですか?
「そうですねー。一番顕著に感じるのは、自由に学校に出入りが出来なくなっているということでしょうか。ひと昔前は、休みの日でも校門が解放されて自由に校庭に出入りしたりもできたと思いますが、今では施錠が当たり前です。また、保護者の方が学校に来るときも、正面玄関から入ってそのまま教室や職員室に行かれていたと思いますが、今は全て校舎の外にある“事務所”に立ち寄っていただき、事務の方に用件とお名前を申し出ていただくことになっています。その際に名札をお渡しし、これを必ず付けて校舎内を歩いていただくわけです。
それでも不審者が侵入したり、何か問題が発生したときのために、先生は全員笛を首から下げていまして、すぐに他の先生に危険を伝えられるようにしています。他にも、全学校にインターホンと校内放送機器が完備されていますから、犯人を刺激しないような放送で先生を集合させたりも出来ますし、子供の安全のための対策を講じています。」
よく卒業生が先生に会いに学校に気軽に寄ったりしてましたが、今はそういうケースも全て事務所経由でないとダメなんですね。
他にはどんな取り組みがありますか?
「授業中は、先生も生徒も各教室に入って廊下などにひと気が無くなりますよね。そういう時間帯に、担任を受け持っていない校長先生や教頭先生が空き教室など校内を回られて安全を確認しているんですよ!やっぱり警備員は人件費の問題から難しいですし、用務員さんには別のお仕事がありますしね。教職員が出来る限りの取り組みを行っているわけです。
あと、外部からかかってくる電話にも注意を払っていますよ。必ずこちらからかけ直すようにして、子供に直接つなぐということはしませんね。御父母の方からの電話だと言われても、本当にそうかは判断つきませんし、向こうがいくら警察だとしても、必ず一旦切ってかけ直します。子供を守るためには、こうした小さな取り組みが大切なんです。」
登下校についてはどうですか?
「これは危機管理マニュアルにあることではなく、独自の取り組みとしてある小学校が始めたことなんですが、同じ通学路の子供たち何人かと集団下校をさせて、それに途中まで先生が一緒について帰るんです。教職員の負担は避けられませんが、安全には変えられないということで頑張っていただいています。この取り組みは、他の学校でも広まっていますね。
また、他市で実際に起こったことなんですが、一旦下校した子供が忘れ物を取りに学校へ戻ろうとした途中に交通事故に遭ってしまった例がありまして、原則下校途中はもちろん、帰宅後に学校へ戻ることは認めていません。これは登校時も同じで、どうしてもという場合はお母さんに連絡したりしています。」
気になる点があるのですが、危機管理マニュアルを配布されているとおっしゃいましたが、“その取り組みについては学校に一任している”とのことですよね。それがきちんと実施されているのか、実際に教育委員会の方が見回ったりするなど取り組み内容をチェックする機能というのはあるのですか?また、良い取り組みは他の学校でも取り入れられるように、横通しができる機会などが設けられたりしていますか?
「マニュアルを配布している時点で、しっかり取り組むというのは当たり前という信頼ベースで周知していることですので、実施していないということは無いと思います。また、訓練については年に1回行うようにマニュアルにもありますから、行っていただいているはずです。一応、実際に訓練をやったかどうかのアンケートを、平成17年度のうちに実施しようと考えていましたが・・・。
他校の取り組みを知る機会ですが、校長会議をはじめ、担当者レベルや地区レベルの会議などが設けられていますから、そうした場で情報交換が出来るようになっていますよ。」
最近よくニュースでも目にしますが、他市・区独自の取り組みとして防犯ブザーやICタグの一律配布などがありますが、八千代市独自で行われている防犯対策などはあるんでしょうか?
「なかなか費用面などのこともありますし、防犯ブザーや、最近出てきたGPS携帯を持たせるなどという対策はしておりません。やはり「一律配布」となると、特に位置が分かるGPS携帯などは子供のプライバシー問題がありますし、色々な意見が予想されますので、実施するのは難しいでしょうね。
独自ということではないですが、つい先日平成18年3月1日から「八千代市の不審者情報」が、警察から各学校へ電子メールで一斉送信されるようになりました。今までももちろん該当区域の学校へ電話で連絡があったり、全学校への横通しが必要な情報は都度連絡していましたけれども。
この通報システムを全学校の職員室に設置するのが大変でした。やっぱり即メールを確認出来なければ意味がありませんから、メールが入るとサイレンがなるようにしたんですが、これがきちんと作動するためのテストに時間がかかりまして・・・。」
その不審者情報は、どうやって子供たちや御父母に連絡するんですか?
「そこは電話による緊急連絡網や、子供たちに配布するペーパーを家庭に持って帰ってもらったりすることで周知しています。電子メールによる一斉周知をしてほしいという要望もあるのですが、各御家庭のメールアドレスを管理するというのがセキュリティの面からかなり大変なことでして。アドレスを管理したり、一斉周知するシステムを構築するとなると多額の費用がかかりますから、実際には難しいところです。」
じゃあ、例えば八千代市のホームページにその不審者情報を載せたりすれば、必要なときに見れますよね?やっぱり小学生のご家庭だけが知っていれば済む情報ではないと思いますし、むしろ地域の方々が認識することで、その発生場所に対して注意が向いて不審者の抑止効果もより高くなるのでは。
他の例でいえば、都内の不審者情報は、警視庁のホームページに掲載されていますが、区毎に毎日情報が更新されてとても見やすくなっています。
アドレスの管理が困難ということで情報をシャットアウトしてしまうのではなく、まず第一段階として情報を公開することは出来ないんでしょうか?
メール配信よりは即時性に欠けるかもしれませんが、少なからず不審者防止対策につながるように思いますけれども、そのあたりはどうお考えですか?
「難しいところなんですよね。市が不審者情報を公開してしまうと、その地区に住む方から“土地の値段が下がる”とか苦情が来る可能性もありますし・・・。教育委員会のホームページ上に乗せることは出来るかもしれませんが、掲載したことを周知してもそんなにアクセスがあるのか分かりませんので、効果の面で不透明ですし・・・。」
それでも、検討はしてみますとおっしゃってくださいました。
不審者情報は、小学生のいるご家庭だけが欲しがっている情報ではないはずなんです。学校に上がる前の子供を持つ家庭で、お孫さんが遊びにいらっしゃる時の参考として、また子供がいなくても自分自身の身を守るという意味でも、見たいときに簡単に見られたほうが安心だと思うのですが・・難しいものですね。
小学生の子供たちに被害が発生しやすい時間帯は、下校した後の14:00から夕食までの18:00に集中しやすいとされています。登下校は学校や保護者の方々などがメインに対策されていますが、学校の無い日や下校後の時間帯に子供たちを守るには、子供たち自身による自衛の意識とともに、地域住民の意識が欠かせないようです。
防犯は対策を講じることも大切ですが、これを適切にアピールすることで犯罪に対して抑止的な効果が期待できます。ですから、学校に直接関係のない一般の地域住民の方々へいかにアピールして意識を高められるかということがポイントになってくるんだろうと思うのですが、学校外ではどんな取り組みがなされているんでしょうか?
「地域の方々には、本当にご協力いただいているんですよ。
“子供110番”という取り組みはご存知ですか?子供たちが外で怖い目に遭った時に駆け込める家を用意するというものですが、これはボランティアの方で成り立っているシステムです。1年更新で学校毎に募っておりますが、学校長やPTAの方が地域を回って“この辺りにそうした家があるといいな”と思う候補を立てて、お願いしに行くこともあります。
分かりやすい動物キャラクターのステッカーが目印ですが、例えば偽造して悪用したりする人がいないように、信頼できる人に協力いただく意味でも、学校のみの募集にしています。ただ、出来る限り家にいらっしゃる方が望ましいので、なかなかご協力いただくのが難しいのですが・・・。
他には、抑止効果を狙う目的で、“パトロール中”というステッカーを利用しているんですが、ご覧になったことはありますか?
PTAのお母さん方がお買い物に行かれるときの買い物カゴに貼っていただいたり、市の公用車の横に貼っているのですが、外で目に触れることで意識の向上を図っています。
地域の方々と、子供たちの交流の場を設けることも大切だと思っています。
例えば、学校に伝統技術を持った方を招いて、子供たちに教えていただいたりする機会があるのですが、その日が終わった後でも町中で会ったときに子供たちが覚えていて声を掛け合ったりすることがあるんですね。
地域の方々と交流を深めることで、顔見知りの大人を増やす。これが一番子供を守ることにつながっていると思っています。
特段目新しい取り組みでは無いですし、やっていることは小さなことかもしれませんが、当たり前な取り組みをコツコツと積み重ねることが大切なことだと考えていますし、これからも地域の皆さんにご協力を得ながら子供たちの安全を確保していきたいと思っています。」
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確かに。
目新しくはないかもしれません。
ですが子供たちの安全について前向きに取り組んでいる様子がすごく伝わってきました。私のような学校に関係のない住民には、日常からこうした取り組みに気付くことが難しいかもしれませんが、先生やPTAの方々、自治体の活動に積極的に取り組んでいらっしゃる方々の力によって子供の安全を守る努力がなされているんですね。
ただ、子供を狙った犯罪が増大している傾向にある中で、重要だと指摘されている地域住民の意識向上を図るには、学校に直接関係の無い方にも情報を公開し、まずは興味を持ってもらわなければなかなか確立されにくい部分なんだろうと感じます。
そうした意味でも、話題作りのための画期的な市独自の対策を検討したり、不審者情報を大公開してみたり、一般市民の目をひくような、「八千代市やるなー!」と思わせるような、ちょっと派手な対策が考案されると面白いと思うんですが、どうでしょう?やり方によっては、十分費用対効果は得られるとも思います。
唯一ご回答いただいた学校の要望事項の中でも、「市で防犯ブザーを一律配布してほしい。」ということがありました。学校独自での対策はやはり限界がありますし、「どうしてあの学校だけ!?」という非難も沸き起こらないとも限りませんし・・・。
国でも色々と防犯グッズに関して助成制度が検討されているようですが、それを待たずして犯罪は日々発生しているわけですしね。
なかなか色々悪質な犯罪も多い中で、直接子供に声を掛けることすら難しい世の中ですが、「全く関係ないわ」と思わない人が増えるだけでも、街の環境は変わるように思いますし、とりあえず私は、街の防犯について興味を持つというところからはじめてみようと思います。
「パトロール中」ステッカーを貼った買い物カゴを持っている方を見かけたことすらないので、まずはそういう人を探してみるとか・・・。
みなさんは、八千代の防犯対策について、どんな風に感じていますか?
【追加レポート】平成21年3月4日
先月2月16日付で、市役所のお知らせ欄に「やちよ防犯情報メール」配信サービスを案内する情報が掲載されました!3年前には検討はするけれど、個人情報の面で不安があるとおっしゃっていたメールでの情報公開ですが、どうやら環境が整ったようです。
折角なので詳細情報をご紹介!
●やちよ防犯情報メール
【概要】八千代市内で発生した犯罪の情報や不審者情報等を、事前に登録した携帯電話及びパソコンのメールアドレスへ配信する。
【対象者】登録を希望する方ならどなたでも
【配信内容】犯罪の発生情報(空き巣、ひったくり、車上ねらい、強盗、振り込め詐欺等)、子どもに対する声かけなどの不審者情報、防犯に関するお知らせ等
【登録方法】指定されたアドレスへ空メールを送り、その後返信されたメールにて登録を行う。
→詳細はこちらhttp://www.city.yachiyo.chiba.jp/benricyo/bouhan/mail.html(八千代市HP詳細ページ)
【問い合わせ先】八千代市役所 生活安全課/047-483-1151(代表)
(八千代市HPお知らせ参照)
こういった防犯情報は、多くの方々が共有することで、より一層周りに目が行き届いて効果が上がるものですし、ぜひ一人でも多くの方が登録されるといいですね!
ちなみに、私も早速やってみました。使用したのは、ドコモの携帯です。
@詳細ページにQRコードがついているので楽ちん!携帯電話のバーコードリーダーで読み込むと「メール作成」というリンクが付いてきたので、それを押して特に何も書き加えることなくメールを送信します。
Aしばらくしても音沙汰がないので、iモード問い合わせをクリック。するとすぐに受信メールが到着!「やちよ防犯情報メール登録案内」という見出しで届きます。
利用規約の書かれているリンク先をまず押して、内容を確認します(iモードブラウザを開いて画面を確認することになります)。それからまたメールに戻って、登録を行うためのURLをクリック(こちらもiモードブラウザで)。
B登録をした携帯のアドレスが表記されていて、その下に規約に“同意する”という選択があるので、四角にチェックマークを入れて「登録」ボタンをクリック。するとすぐに折り返し「やちよ防犯情報メール登録完了」のメールが届きました。
これで終了のようです。
ちなみに、完了メールの中には、解除作業先のアドレスも書かれていました(市の詳細ページ内にも、解除方法は書かれています)。
特に難しいことはなく、ほんの数分で作業は完了!ぜひお試しあれ。
【街の安全についての最新記事】
今度自治会で防犯、防災の準備会を設けようと話しが出ておりました。参考になる情報をありがとうございました!
コメント有難うございました^^
市も以前は対応していなかったものも、少しずつ状況に合わせて取り入れているようですね。良いシステムがあってもなかなか周知が行き届くまでには時間もかかりますが、何かまたあればご紹介していければと思っています。
防犯・防災については、どうしても何か起こってからでないと本格的に対策が打たれない風潮もありますが、だからこそ自分の身は自分で守る!くらいの気持ちで、積極的に取り組んでいかないと・・・!
入園・入学シーズンですし、皆さんが安全に過ごせる街にしたいですね^^