例えば今月11月1日付の“広報やちよ”には、「やちよ良いとこ教え隊隊員」なるものの募集が掲載されていました。
『市内にあるおいしいお店や、お気に入りの景色、商品など・・・皆さんのお気に入りの「八千代の良い場所・物」を、友達や知り合いに“口コミ”で紹介しませんか。』
八千代の魅力を口コミで広める活動をする隊員を募集しているようで、隊員登録した方には“隊員証”が交付されるらしい。
また、11月15日付“広報やちよ”のお知らせ欄には、やちなびでも早耳情報でご紹介した「パッチギ!」後編のエキストラ募集の記事。(⇒早耳情報「パッチギ続編を八千代で撮影!」記事)
その募集内容には、ちょっと意外な紹介文が・・・。
『市では観光の一環として八千代を広くPRするため、県フィルムコミッションと連携して、市内でのロケーション地の誘致を進めています。』
ね、何やらおかしいでしょ?
ちょっと地味なイメージ?があった八千代市なのに、八千代市らしからぬ目新しそうな取り組みがチラホラと見え隠れ。実はこの両方の記事、どちらも取纏めが「産業政策課」となっています。あまり耳にしたことがない課名ですが、調べてみるとどうやら今年18年4月に発足したばかりの新しい課だということが分かりました。
何をしようとしているんだ、八千代市!(しかもこの「やちよ良いとこ教え隊」、この広報やちよを読んでもイマイチよく分からないぞ!)
今回は、そんなモヤモヤしたものを解消するべく、企画した産業政策課へ具体的にどんなことをしようとしているのか聞いてくることにしました。
こんな私の素朴な疑問に対して、丁寧にご対応してくださいましたのは、八千代市役所内にある産業活力部産業政策課の方と、その中でも観光振興班をご担当されている方です(以下、“ご担当”と表記)。
まずは産業政策課について、教えていただくことに。
なび子:「産業政策課は今年の4月にスタートした新しい課だと伺っているんですが、どういうことを目的に立ち上げたんでしょうか?」
ご担当:「観光事業は、元々同じ部にある商工課というところで担当していたんですが、今後更に積極的に取り組んでいくべく産業政策課独自の業務として立ち上げました。業務内容は“産業施策の企画立案及び推進、観光の振興”などとしておりまして、八千代市内のイベント情報を公開したり、今回お問い合わせいただいた良いとこ教え隊事業などを進めています。」
なび子:「やっぱり最終的な目的は“八千代市内へいかに人を呼び込むか”というところに繋がるんでしょうか?」
ご担当:「そうなんです。とにかく今まで以上に“八千代市”をアピールし、各地からどんどん訪れていただくことで交流人口の増加を図っていきたいと考えています。これは市の活性化、ひいては付随する経済効果を期待してのことですが、まずは県外から呼び込むことよりも、八千代市民や近隣市の方々にあらためて八千代市内へ目を向けていただくことから始めようかと思っているんです。今回の良いとこ教え隊は、まさに市内の更なる活発な回遊を進めるためにも、期待している企画のひとつなんですよ。」
なび子:「その“やちよの良いとこ教え隊”なんですが・・・広報やちよで目にした感じでは、どうも隊員になってからの具体的なイメージが沸かなかったのですが。まず、そもそもこの企画の趣旨はどういったものなのか教えていただけませんか?」
ご担当:「趣旨・・・そうですね。なび子さんも、恐らく八千代市にお住まいになられて、ひとつやふたつは“この場所は良いなぁ”とか、“こんなイベントは八千代市ならではだ!”とお思いになられることがあるんじゃないかと思うんですが、同じように八千代にお住まいの方や、通勤・通学で八千代を訪れている方も“あの人に教えたい、案内したい”と思える八千代の良いところをいくつかお持ちだと思うんですね。
皆さんがそんな風に思っていることを、まずは身近な家族や友人に、更には学校や会社の方々などへぜひアピールしてもらい、いわゆる“口コミ”によってジワジワと八千代の良いところに注目してもらえないかという発想です。
この活動は、組織として大々的に活動するわけではなく、あくまで各人が出来る範囲・やり方でPRしていただくというものです。それによって、次第に八千代へ訪れる交流人口が増え、更なる活性化への糸口となることを期待しています。良いところに目を向けるという活動が、市内・外問わず、八千代を愛する方々を増やすという結果に繋がれば、何より嬉しい効果ですね。」
なび子:「市の事業ということで、少なからず市税が使われると思うので念のためお伺いしておきたいのですが、今回の企画で期待される事業効果は、どのように想定されていますか?」
ご担当:「なるほど、鋭い質問で。今回の企画は、口コミで広げたいという発想からもお読み取りいただけるかと思いますが、出来るだけ予算をかけず且つ近隣市には無いやり方で、何か“八千代市の独自色”が出せないか”という考えのもとに進めているものです。ただ、何か拠り所が無いと活動しにくいのではと思いまして、この事業に賛同いただける方を八千代市が募集し、“隊員”として登録することにしました。登録の証として“隊員証”を発行し、この交付を受けた方には、まだ具体的な話は無いものの店舗からのサービス享受などに繋がっていけばと想定してます。」
今回の企画によって市が期待している事業効果というのは、口コミを聞くことによって地域住民の市内回遊や市外から足を運ぶきっかけとなり、これがはじめの話にも出てきた“八千代市への交流人口の増加”や、これに付随する“経済効果”に繋がればということがまずひとつ。
さらに、この「やちよ良いとこ教え隊」事業が浸透し、隊員数が増えてくることによって、市内にある商店等が新規顧客を獲得するため“隊員さんなら食事代○円引き”などサービスを始めるきっかけに繋がることも期待しているんだとか。隊員さんが良い口コミをしてくれるように、お店側は今まで以上に創意工夫を心がけるし、逆に隊員さんは隊員であることによるメリットが増えたりという相乗効果が狙いです。
さらに、商店街など街の美化にまで期待は膨らみます。口コミによって客足が好調になった店舗やその商店街では、自然とキレイな見た目を心がけるようになるでしょうし、そのキレイな通りではポイ捨てなどもなかなかしづらくなって・・・という自浄作用が働いて、街の美化に繋がればとも考えているそう。
ちなみに、実費としてかかっている費用ですが、会員証代やそれを送付する郵送費など概算で以下のとおりだそうです。
〔消耗品費〕
カードサイズ台紙:@1,000円/100枚入り(税別)
ラミネート代金: @60円(税別)/枚
〔通信運搬費〕
隊員証及び規約等の郵送費:@80円/件
さて、この「やちよ良いとこ教え隊」の隊員になるためには、こんな手続きが必要になります(ちなみに隊員として登録できるのは、20歳以上の方(市内外問わず))。
〔申し込み方法〕
@電話、ハガキ及びFAXのいずれかで、以下内容にて産業政策課まで申し込みます。
・内容:住所、氏名、性別、電話番号、生年月日
・申込先:〒276-8501 千葉県八千代市大和田新田312-5
八千代市産業政策課内「やちよ良いとこ教え隊事務局」
TEL 047-483-1151/FAX 047-485-7686
A後日、「隊員証」及び「やちよ良いとこ教え隊規則」が郵送されます。
隊員規約には、目的や定義、その他詳細事項が書かれています(⇒やちよ良いとこ教え隊規則PDF)が、その中でも「良い所」の定義と、隊員の責務について抜粋します。
(第2条 定義)
市内の良い所とは、教え隊の隊員が魅力を感じている自然景観、歴史、行事・イベント、施設(公園、神社・仏閣建物等)、店舗、商品・産品、食べ物等の様々な情報とする。
(第5条 隊員の責務)
隊員は、本事業の目的を達成するため活動するものとし、情報の発信にあたっては正確性に十分配慮すると共に次のことをしてはならない。
(1)店舗、物、他人への誹謗中傷
(2)営利を目的とした活動
(3)公序良俗に反すること
(4)本事業の信用を損なう恐れのあること
ちなみに、隊員証の裏にも、規約を簡略化した次のような内容が書かれています。
1.本隊員証に記載の者は「やちよ良いとこ教え隊」の隊員として八千代市に登録されています。
2.隊員は、八千代市の発展のため、市内の「おすすめ情報」を広く紹介します。
3.隊員は、自己の営利のために活動してはいけません。
4.隊員は、店舗、物、他人を誹謗中傷する行為をしてはいけません。
⇒ここがポイントだそう。口コミといっても、悪い口コミはNG。どんなお店・場所でも良いところはある!という信念、ちょっとやちなびに通ずるものが・・・。
5.隊員は、各自の活動について責任を負うものとします。
6.隊員が紹介する情報は、各隊員の主観的なものであり、八千代市が推奨するものではありません。
7.隊員の活動により発生した事故及び損害について八千代市は一切の責任を負いません。
なび子:「・・・これだけ読むと、市が企画している割にはちょっと責任逃れをしているんじゃないか?みたいな感が無いわけでもないですが。どうなんでしょう?」
ご担当:「そこが難しいところでして・・・。結局、どこまで行政が商店などの営業などに首をつっこめるかというところにかかってくるんですよね。例えば、“どこどこの桜並木がいいよ”とか“こんな良い地域イベントがあるよ”などの情報でしたら、いくらでも提供することは可能なんです。ですが、先ほども話に上がりましたが、行政のホームページやお知らせで特定の店舗だけを取り上げたりするのは、公平性に欠けるということで難しいですし、また各商店が自発的に割引を行うことは全く問題ないのですが、これを行政が“隊員証を見せたら何割引きにしなさい”と指示してしまうと、営業に直接介入することになり良くないんです。一方で、八千代の活性化という面では、環境やイベントばかりをアピールしてもイマイチ影響力に欠けてしまう。やはり、どうしても行政の力でサポートは出来ても、実行まではできない範囲というのが出てきてしまうのです。
そこで、八千代を愛してくれる隊員さんのお力をお借りして、ぜひ一緒に八千代を活性化してもらえないか、というところに至ったわけでして・・・。隊員さんの活動ということであれば行政のような制約が少ないですから、様々な情報発信が可能になるというところに大変期待しているんです。確かに、発案する立場で八千代市が取り纏めをするのに、やり方は各人にお願いし、その情報に責任は持てないという言い方は無責任な印象がありますが、そのあたりを汲んでいただけると助かります。」
なび子:「なるほど、そういうちょっと込み入った内情があるわけですね。
ただ、隊員さんがどんな活動をしているのか全く感知しないということではないんですよね。時々は吸い上げを行うなどして、どんな口コミをしているのか把握したりはするんでしょうか?」
ご担当:「それは定期的にアンケートを行い、良い情報をまとめて各隊員に配布したりすることは考えています。ですが、そのアンケートも半年に1回出来ればという程度で、タイムリーに隊員同士が情報交換する場も、逆にその口コミ内容を非隊員の方に開示する機会も持てないのが悩みのタネでして・・・。先ほどの理由から、やっぱり市のホームページに情報を載せるにも店舗関係は難しくなってしまいますしね。」
その話を聞いて、やちなびのSNSが利用出来ないか、ふと思いついちゃったんですよね・・・。
なび子:「実は・・・“八千代ナビライフ”というSNSを立ち上げていまして(詳細はこちら)、この中でコミュニティ機能があるので、隊員さん同士情報交換するのに役立てられないでしょうか?ちなみに、このSNSに登録されている方だったらその情報を閲覧することが出来ますし、登録制なので普通の掲示板と違ってあまり荒らされることもなく、逆に皆さん安心して利用されているみたいですし・・・。」
そんな、唐突な話をしてしまったんですが、思いのほか好印象!
ご担当:「本当ですか?!じゃあ、ぜひご協力をお願いします。隊員の方にも、八千代ナビライフSNSで情報交換ができるということを、お知らせしてみますね。」
とのこと。
おおー!思わぬ展開。
やちなびが名前通り、ちゃんと“地域コミュニティ”としてちょっぴり貢献出来ることに!
(ということで八千代ナビライフは、11月からメンバーからの招待メールがないと登録できないようにしていましたが、当面またやちなびから直接登録できるように切り替えることになりました。)
ご担当:「集約した情報から、新しいイベントや企画を検討することも考えているんですよ。例えばですが、こんな活き活きしたすごい年配の方がいる!という情報が複数集まったとして、すごいおじいちゃん・おばあちゃん特集!とかですねー・・・。」
・・・それはどうだろう?(みんなで見に行くのもナンだわね)
とにかく、市に対してこう変えて欲しい!みたいな要望というより、八千代をアピールできるこんな企画はどうですか?みたいな提案を求めているとのことでした。人気鴨せいろ食べ比べマップ!とか、八千代乳牛の乳搾りツアー!とか、みんなで食べよう!八千代の梨狩りツアー・・・とか?(私が思いつくのも、何だか微妙なモノばかりだなぁ。)
今回は、やちよ良いとこ教え隊について産業政策課の方にお話をお伺いしてきたわけですが、とにかく八千代をアピールして行きたいんだ!という熱意が端々に感じられるお話っぷりでした。
まだこの企画も始まったばかりですし、恐らく今後調整される部分が色々と出てくるんだろうとは思いますが、ぜひ八千代の活性化のために頑張って欲しいですね!
私も隊員になろうかな・・・。
口コミならぬ、インターネットコミ?
どうかな?
そうそう、やちなびSNS、思わぬ形でまたメンバー募集することになりましたが、ぜひ楽しい“裏やちなび”にご参加くださいませ。
(⇒やちなびSNSについてのお話はこちら)